日日- HiBi - Day-to-Day
ゆたかな、循環―
生まれたての柔らかさ。いかなる未来にも変
容できるその存在はまるで「希望」そのものだ。
お客様でありもはや友人でもあるO夫妻から
第一子誕生の報せを頂きお祝いに駆け付けた。
お二人との出会いはとても稀有なものだった。
銀座の某レストランに飾られた私の書に一目惚
れして下さりコンタクトを取ってくれたのだ。
墨象「人」という全長5mのその作品は、線
の途中で渦を巻き、時には荒れ狂い、それでも
疾走して駆け抜ける。そんな書の表現からご夫
妻は人の一生、人生そのものを感じて下さった。
それは、私がその作品に託した想いそのもの―。
旦那様はメンタルヘルスが専門の産業医で、
物腰は天性の柔らかさ。一方奥様はとても知的
で快活、会話に明るさと華やかさを添えている。
先日お二人の思いの丈の詰まった「命名書」
が完成しそれをお届けにあがった。「甘雨さん
も是非」と、家族写真にまで参加させて頂いた。
O夫妻は実は一回りほど年下なのだが(たとえ
おむつ替えの際中であっても!)その穏やかさ
にはいつも感嘆させられる。
きっと穏やかな愛を注げば、それ以上に穏や
かな愛が与えられるのだ。そうして心を潤す豊
かな循環から「希望」は誕生するのだろう。
書家/石崎 甘雨