日日- HiBi - Day-to-Day
生きざまの、結晶―
燃え続ける魂は美しい。余計なものが削ぎ落
され、純粋な情熱だけで輝く。
元床屋を改装した下町ギャラリーと出会った。
アーティスト仲間とのグループ展に参加しては、
ついつい、いつまでも長居をしてしまう空間。
オーナーは、50年以上舞台を撮り続け、150回
以上の海外取材をした写真家Fさん。ギャラリー
を持つことが長年の夢だったという。
息子さんはこの為に電気工事士の資格を取り
ほぼ一人でリフォームし、娘さんはクラウドファ
ンディング等を担当、お孫さんも壁塗りをした。
Fさんには病があって、治療による中断も乗り
越え、時には大いなる家族喧嘩もきっちりこな
して(!)。およそ丸二年にも及ぶ奮闘の末に完
成した下町画廊はまるで、家族愛の結晶のよう―。
ギャラリーにはFさんの奥様もよく在廊され
て、美味しいお料理と好奇心溢れる笑顔で最高
のおもてなしをしてくれる。きっと昔から変わ
らない、きらきらの瞳。大好きなお二人。
生まれたてのギャラリーには、下町らしい人
肌温度のぬくもりが灯り続ける。写真家、書家、
舞踏家、絵師、アートをこよなく愛する人々が
出会い、集い、語らう「場」。Fさんの魂と共に。
一層熱く、やさしく、燃え上がるばかりだ。
書家/石崎 甘雨